名塩音頭名塩音頭の文句は、全国的に流布した「口説きやんれ節」からきているとされ、演題は、お馴染み鈴木主水口説きをはじめ、八百屋お七口説き、鳴門巡礼口説きなど数題に及ぶ。これらは家々の軒先で演じる門付け芸であったのが、盆踊りとして定着したとみられる。それぞれが物語り風の語りになっていて、1時間以上かかるものもある。昔は、この文句を紙漉き場の窓に貼り付けて覚えたという。踊りは、やぐらを中心にその周囲を回る形式。音頭とりは桧笠の庇に手をかざし四辺に顔を出して唄った。桧笠は声を逃がさないための工夫であったと思われる。太鼓たたきは5人で、やぐらのそばを右回りする。打ち方は、三小節周期の繰り返しであるが、踊りがだれてくると5ツ太鼓を叩いて盛り上げた。踊り手も太鼓の外側を右回りする。踊りの基本は、手を肩より高く挙げないことと、足は摺り足であること。音頭とりは、それぞれに得意の持ち唄をもっていて、交代で演じたので夜明け近くまで踊りが続いたという。ところが戦後、炭坑節や真室川音頭が大流行して、名塩音頭のテープを流すと踊りの輪が解けてしまう状態が何年も続いたが、昭和51年に盆踊り保存会が発足され消滅の危機は去った。最近は小学校などで郷土の踊りを伝承するための取り組みがなされており頼もしい。