第三篇 端午の節句

端午の節句昔は旧暦による行事が多く、男の子の成長を祝う端午の節句も6月5日であった。長男の初節句が近づくと、母方の里からは鯉のぼり、親戚や親しい人は武者人形やはりこの虎などで祝った。鯉のぼりは真鯉と緋鯉だけで、吹流しや子供の鯉が加わったのは最近である。鯉のぼりを吊るす棒には、皮を剥いだ杉の丸太が使われ、その先端には杉の葉か矢車が取り付けられた。また、親戚や近所の人も手伝って、ちまきや柏餅をこしらえた。ちまきは、熊笹とすすきで包んだものをい草で縛り、柏餅は柏の木が少ないので、さんきらいいばらの葉が使われた。お祝いを頂いた家々に、親餅、ちまき、柏餅を内祝いとして届けた。ちまき、柏餅、は武士の携行食のなごりといわれる。別名を菖蒲の節句ともいい、いろんな形で菖蒲が使われた。前の日の夕方、菖蒲とよもぎ(家によっては栴檀も)を束ねて、人の出入りする門口や裏口の屋根に上げた。当日は、菖蒲を浸した酒を神棚に供え、このご神酒を頂くと不浄が清められるといわれた。また、屋根から下ろした菖蒲で、男の子は鉢巻に、女の子はかんざしに用いて頭痛除けにした。菖蒲風呂といって湯舟に浮かべたり、寝床に敷いたりもしたという。いずれも邪気や病災除けにしたものである。これらに使うのは花菖蒲でなく葉菖蒲であるが、最近は自生する湿地が少なくなった。

名塩会館の郷土資料展示室の内容を一部変更しました。             名塩探史会