葬れん(上)生あるものは必ず死を迎える。死者が出ると先ず葬れん(葬式)の日取りを決めた。普通は翌日または翌々日であるが、友引の日は、友を一緒に連れて行くといって避けた。よとぎ(お通夜)は葬れんの前の晩に営まれた。死人(しびと)は、納戸に北枕で安置し、如来像の軸を枕元に配して、七条の袈裟を掛けた。枕屏風をわざと逆さに立てかけた。そばに明かりとりの行灯が置かれ、弔問の人々は死人のそばで合掌した。香典に見舞い代わりの白米を添えて差しだすのが通例であった。米の容器のさかい重は、大から小まで七重ねぐらいあり、交際の度合いに応じて増減した。血縁関係になる人の死を知らせ、葬れんでの焼香を依頼するために焼香ふれを出した。夜、月夜で明るかっても家紋入りの丸提灯を持ち、二人で行くのが慣わしであった。他所(名塩地域以外)へ知らせに行く者を飛脚と呼び、やはり二人が同行した。伝達の証人のためではないかといわれている。湯灌は、身内の者だけで行う。畳を取り除いた部屋に明かりとりに篝火を焚く。たらいの水に熱湯を加えてぬるま湯にして、からだを清め洗いする。同席の女性達が一縫いづつしてこしらえた白のサラシの着物を着せた。座棺のため立て膝で合掌させ、それに数珠をかける。額には三角布を巻く。三角布は極楽を意味するそうで、極楽往生できますようにという願いが込められていた。夜は線香、蝋燭の火を絶やさないようにした。名塩探史会